2023年ブタペスト世界選手権で見事に金メダルを獲得した北口榛花(きたぐち はるか)選手。前回と前々回も北口選手についての記事をまとめましたが、彼女がここまで成長できたのは、2019年から彼女のコーチをしているチェコ人のデービット・セケラックさんのおかげともいわれています。
北口選手はどのようにしてコーチと出会ったのか。今回はコーチであるデービット・セケラックさんと北口選手についてまとめてみました。ぜひ最後までお付き合いください。
名前 | デービット・セケラック |
生年月日 出身地 | 1974年 チェコスロバキア生まれ |
やり投げの自己ベスト | 74m50 |
北口榛花 コーチとの出会い
北口選手と彼女のコーチであるデービット・セケラックさんとの出会いは、2018年11月にフィンランドで行われたやり投げの国際交流会です。当時大学3年生だった北口榛花さんは指導者が不在で思うような結果が出せず、伸び悩んでいました。
その交流会で、ジュニア世代のコーチをしているセケラックさんが、榛花さんに『君のこと知ってるよ』と声をかけ、その場で動画を見ながらアドバイスをくれたそうです。
そして実は今コーチがいないことを打ち明けると『東京オリンピックでメダルを獲りたいんじゃないの?』と心配され、思い切って『もし私が頼んだら見てくれますか?』と頼むと快く快諾してくれたと北口選手は語っています。
その後、北口選手はコーチの名刺をもらい、積極的にメールを送りました。そして翌年2月にチェコへ渡り、コーチから直接指導を受けることになります。
無事にコーチが見つかって本当によかったです。結果的に、このコーチとの出会いが北口選手の運命を大きく変えていきます。この交流会にもし参加していなかったらと考えると少し怖いですね。この出来事をきっかけに彼女がどんどん成長していきます。
行動することの大切さが改めてわかったエピソードですね。受け身から卒業して、私も積極的に行動していこうと思いました。
北口榛花 コーチとの出会いと契約は?
北口選手はセケラックさんと出会って、コーチとして指導してもらうようになります。コーチとしての契約内容の情報はないのですが、プライベートコーチとして契約している可能性があります。
プライベートコーチとは、個別にトレーニングを行うこともあり、一部のトップアスリートはプライベートコーチと契約しています。北口選手はケセラックさんと出会った時はまだ大学生だったため、個人的に契約したのではないかと考えました。
北口選手には、元々進学した日本大学にコーチがいました。そのコーチとは、アテネや北京、ロンドン五輪に出場し、ロンドンでは日本選手団の主将も務めた、やり投げの村上幸史さんです。
やり投げでアテネオリンピック、北京オリンピックの日本代表選手。
2009年ベルリン世界陸上競技選手権大会の銅メダリスト。
北口選手は村上さんの指導が受けられるという理由で、日本大学へ進学を決めたといわれています。
しかし北口選手が大学2年生になった2017年の4月に、村上さんが不祥事を起こし、大学を退職してしまいます。突然コーチを失ってしまった北口選手は、現在のコーチに出会うまで一人で練習をしていました。
予期せぬ状況に陥りながらも、諦めずに行動し続けた北口選手。その結果、ケセラックコーチという素晴らしいコーチに出会うことができました。これからも現在のコーチと二人三脚で頑張っていってほしいです。
余談ですが、ケセラックコーチはコーチ業とは別に、印刷会社も経営しているそうです。すごいですね!
北口榛花 コーチとの出会いと関係の発展
北口選手はセケラックコーチと出会い、『本来あるべきコーチと選手の関係になってきた』と表現しています。
最初はやはり言葉も通じていないこともあったのでしょうか、お互いぎこちない部分があり、コーチが一方的に話す場面もあったそうです。
次第に北口選手は、疲れている時は休みたいと伝え、考え方が違う時には異論を唱えられるようになっていきました。さらに2023年の世界陸上で銅メダルを獲得する直前、コーチのアドバイスにカチンときて、喧嘩してしまったとも話されています。
しかしその後、銅メダルを獲得した北口選手はコーチの元に駆け寄り、泣き崩れます。そんな北口選手を笑顔で受け止めるコーチ。喧嘩しつつも、固い絆で結ばれているコーチと選手の関係になっていきました。
他にも、北口選手はコーチと出会って1番変わったことは『休んでいいんだ』と思えるようになったことと話しています。
それまではずっと長い間ダラダラと練習している感じだったのですが、今は短期集中で練習し休憩。そしてまた短期集中して練習をするようになり、成果も上がりました。オンとオフの大切さを実感したそうです。
コーチと次第に固い絆が出来ていた榛花選手。喧嘩する姿がまるで本物の親子のように感じました。
北口榛花のコーチの指導スタイルと哲学
セケラックコーチはもともとチェコ代表のジュニアコーチであり、指導スタイルは【基本を大事にすること】と【ゆっくりと少しずつトレーニングに取り組むこと】を大事にしています。
コーチは、北口選手の弱点である下半身の強化のために走り込みや体幹強化に重点をおき、やりを投げるのは週に2日。砲丸投げや3段跳びのような練習をしていました。
また下半身強化については『求められることが難しくて、私の足ではそんなことはできない』と北口選手が言うと、レベルを下げて教えていました。コーチは北口選手に寄り添い、しっかりサポートをしていたようです。
また【ゆっくりと少しずつトレーニングに取り組むこと】に関してコーチは、『他国の選手は短い期間にたくさんやるが、けがをして選手寿命が短い。榛花にも10~12月に健康でいることが一番大切だと教えてきた』と発言しています。
秋から冬にかけてシーズンの疲れをしっかりと取り、次のシーズンに向けて徐々に再び基礎を築いていく。それを繰り返すことが重要なんだと伝えています。
コーチは2018年からチェコ代表のジュニアチームコーチとなり、若手育成に力を注いでいました。北口選手もシニアコーチではなくジュニアコーチを選んだのは、まずジュニアとしての基礎を学びたかったからだと話しています。
コーチは元々やり投げではなく競歩に取り組んでいました。その後、投てき種目にも取り組み、その頃から自分で考えて練習をすることが多く、その習慣が指導者になって活かされていると話しています。
言葉がまだうまく通じていない頃、コーチは北口選手が馴染みやすいように、チームメートをカフェに集めて一緒にコーヒーを飲んだりとしていました。『やっぱり根気強く教えてくれるのは、ジュニアコーチならではだと思う』と北口選手が話されています。
セケラックコーチが元々は競歩の選手だったとはびっくりしました。ジュニアコーチのもとで基礎をしっかり学んだ北口選手。パリ五輪でも期待が高まります!
北口選手に寄り添って、日々の練習を指導していたコーチ。基本を大事にすることの大切さが改めてわかりました。
北口榛花のコーチを積み上げて大会成績は?
2019年、北口選手がセケラックコーチに指導を受けて以降、成績はグンと上がりました。
2019年北九州陸上カーニバルで1位、2021年〜2022年の日本選手権は連覇。
2022年ではダイアモンドリーグ、ブタペスト世界陸上で優勝を果たしています。
また年次ベストという公式記録があり、北口選手の記録は2019年から大きく変わりました。
2017年は61m07でしたが、コーチから師事後の2019年5月、第6回木南道孝記念陸上競技大会で優勝し、64m36という日本新記録をたたき出し、アジア歴代5位となります。
他にも2019年10月北九州陸上カーニバルで優勝した際、66m00という日本記録を更新。2023年のブタペスト世界陸上では67m38という新記録を出し、2024年6月現在も、その記録を保持しています。
2019年 | 木南道孝記念陸上競技大会 | 64m36 |
2019年 | 北九州陸上カーニバル | 66m00 |
2023年 | ブタペスト世界陸上 | 67m38 |
セケラックコーチから指導を受けて以降、弱点を克服し、どんどん記録を伸ばしていっている北口榛花選手。今後もどんどん記録を更新していって欲しいですね。これからも榛花選手の活躍を期待しています。
コーチから師事を受ける前と受けてからの結果がすごいですね。この調子で今後も頑張ってほしいです!
北口榛花のコーチとのパリ五輪の目標は?
北口選手のコーチであるセケラックさんは、『昨年の金メダルを獲得した時の感動を、もう1度味わいたい』ことと、シュポタコバの世界記録【72m28】の更新の二つを将来の目標にしています。
コーチは元々ジュニアコーチをしていましたが、そのキャリアにおいて北口選手への指導は得がたい経験となり、『彼女のおかげでコーチとしても成長できた』と感謝していると話されていました。
北口選手も金メダル目標に関して『そんな簡単にはいかないとは思いますけど、でも世界の選手とパリで会いたいし、オリンピックってその場所ならではの雰囲気があると思うので、その雰囲気を楽しみたいなって思っています』と笑顔で語っています。
また、コロナ禍でほとんど会えなくなった時に、コーチと北口選手は練習風景を動画で送って意見交換をしていました。さらにコロナが落ち着いた時を見計らって、コーチはチェコと日本を何度も往復し、北口選手を指導しています。
北口選手はそれに対し、『チェコに家族がいて、他に教えてる子もいる中、私のためだけに何度も日本にきてくれるコーチにすごく感謝している』と話していました。
コーチと北口選手との関係はより強い絆で結ばれているのですね。信頼し合ってるからこその関係だと思います。今後も目標の金メダルと記録更新へ向かって頑張っていって欲しいですね。
パリ五輪の目標は金メダルと記録更新!きっと榛花選手ならやり遂げてくれると信じています。
北口榛花のコーチとの関係は?
北口榛花選手とコーチとの関係は二人は親子のように絆が深いですが、プライベートコーチとして契約をしている可能性があります。
コーチにはオリンピック選手代表チームのコーチとプライベートコーチがあり、基本的にオリンピック選手は、代表チームのコーチの指導を受けます。代表チームと選手、コーチとの関係は、各国のスポーツ連盟によって管理されます。
一方プライベートコーチは、個別にトレーニングを行うこともあり、一部のトップアスリートはプライベートコーチと契約していることが多いです。
ですので北口選手は、プライベートコーチとしてセケラックさんとプロフェッショナル契約を結んでいるのではないのでしょうか。
プロフェッショナル契約とはプロ選手の場合、コーチとの関係は正式な契約によって規定されることが多いです。契約内容には報酬、契約期間、責任範囲などが含まれます。
コーチと北口選手の契約内容などの情報は不明ですが、このような契約をされているのではないでしょうか。
契約以上に強い信頼の絆で結ばれているお二人。今後もメディアでお二人揃っての姿を見ていたいと思いました。
コーチと選手との契約はよくわからなかったので、勉強になりました。
北口榛花のコーチとのパリ五輪へ向けた練習メニューは?
北口選手のパリ五輪へ向けた練習メニューは、課題としてきた上半身と下半身の連動をよりスムーズにするためのトレーニングに、より力を入れて行っています。
シーズンを終えて1ヶ月半ほど休養した北口選手は、11月1日から冬季練習をスタート。ストレッチを入念に済ませ、ランニングからジャンプ、ダッシュなどを行いました。
『スタートは他の選手よりもゆっくりだが、たくさんやればいいというものでもないので、自分のペースでパリ五輪に向けて準備していければいいと思う。』と北口選手は語っていまます。
2024年に入ってから、北口選手は練習を拠点とするチェコに戻り、本格的な練習をスタート。
ウエイトリフティングなどの上半身を鍛える筋トレやストレッチ、下半身を鍛えるハードル走や、山道での全力ダッシュなど。主に陸上競技を全般に、体の基礎をつくる練習をされています。やはり基本に忠実に練習をしているようです。
集中力を高めた状態で行われる練習と、適度な休憩、そして精神面で余裕を持つこと。そのバランスをうまく取り入れながら、パリオリンピックへ向けて北口選手は日々練習に励んでいます。
スポーツのみならず、何事も基本は大事ですよね。今もパリ五輪に向けて練習に励んでいる北口選手。これからも応援し続けたいと思います。
パリオリンピック、今から本当に楽しみです!